リスト 交響詩「前奏曲」 シノーポリ&ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1996)
リスト
指揮 :ジュゼッペ・シノーポリ
録音:1996年9月、10月
レーベル:ドイツ・グラモフォン
リストは標題音楽の草分けとして、「交響詩」というジャンルを確立した人物です。交響詩とは文学的、絵画的な内容を標題に即して音楽で表現するというジャンル。
今回ご紹介する「前奏曲」は『私たちの人生は、死へのプレリュード(前奏曲)である』というフランスの詩人ラマルティーヌの詩からとったもの。
無の底から湧き上がってくるような弦楽器のモチーフがどんどん上昇して、木管楽器の澄んだ高い音色まで届いていきます。
シノーポリとウィーンフィルの演奏は、音の始まりと終わり、そして楽器同士の音の受け渡しが滑らかで、全体として柔らかい響きがとても魅力的。
アクセント(強調して)の音符が続く場面でも、音を分離させたり叩きつけるような表現にせず、一度塗った絵具のさらに上から色を塗り重ねていくように一音ごとに厚みを増していき、音楽の迫力がより立体的に伝わってきます。