クラシック音楽雑感

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メンデルスゾーン 交響曲第3番「スコットランド」 マズア&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(1972)

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メンデルスゾーン

交響曲第3番 イ短調 Op.56「スコットランド

 

指揮:クルト・マズア

管弦楽ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

 

録音:1972年 1月8日~9日

レーベル:DENON 

 

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団は、メンデルスゾーンゆかりのオーケストラです。今回ご紹介する「スコットランド」は、メンデルスゾーン自身の指揮によってゲヴァントハウス管の演奏で初演されています。

 

スコットランド」というタイトルは、メンデルスゾーンスコットランド地方を旅した際に、エディンバラのホリールード宮殿で着想したメロディが使われていることからとられているものだそうです。

ホリールード宮殿はメアリ・ステュアートゆかりの城で、すぐ隣にはメアリが王位を継承した礼拝堂があります。メンデルスゾーンが目撃したのは、過去の栄華とは裏腹に、朽ちて果て、草や蔦の侵入を許している礼拝堂の姿でした。堂内にはやぶれた屋根から空の光が差し込んでいました。

 

第1楽章序奏の旋律が、まさに先に述べたそのメロディのことで、悲劇的な印象をうけるものなのですが、マズアはその感傷にはひたり過ぎない前向きなタクトで語りかけてきます。

第2楽章は快速ながら緻密なアンサンブルが小気味よいです。

第3楽章はヒーリングミュージックのCDにもよく収録される穏やかな音楽ですが、やはりそこに没頭はしません。そよ風や空に浮かぶ雲が、何にも妨げられず、すうっと流れていくような様です。

フィナーレでは一転して戦闘的な厳しい音楽となりますが、メリハリのあるアクセントがいっそうの躍動感を演出しています。しかし次第に勢いが衰え、クラリネットが物語る張り詰めた空気から一転して晴れやかなコーダへ。

 

全曲を通して、木管セクションが中心になって作り出す澄んだ響きがとても魅力的な演奏です。