クラシック音楽雑感

自分が聴いたCDやコンサートの感想をつづります

シューベルト 交響曲第5番 ワルター&コロンビア交響楽団(1960)

f:id:musik_zakkan:20200513235302j:plain
シューベルト

交響曲第5番 変ロ長調 D485

 

指揮 :ブルーノ・ワルター

管弦楽:コロンビア交響楽団

 

録音:1960年 2月26日&29日・3月3日、American Legion Hall(カリフォルニア)

レーベル:SONY

 

シューベルト交響曲第5番は、彼の交響曲の中でもとりわけ穏やかで優しさにあふれた作品です。彼が敬愛したモーツァルト譲りの軽快さにあふれている一方で、同じく尊敬の対象であったベートーヴェンの作品に見られるある種の深刻さとは無縁であることが、この曲のキャラクターをいっそう際立たせていると思います。

 

第1楽章の導入は落ち着き目のAllegro。アレグロと言うと、「速く」というイメージを持ちがちですが、ここでは「陽気な」とか「リラックスした」といったような、心の高揚を感じます。

ワルターの演奏は、静と動、緩と急の対比が鮮やかです。

それがこの交響曲の持つ優美さと、その影にある寂しさの陰影に気付かせてくれます。第1楽章の展開部に見える揺らぎや、思いを巡らせながらゆっくりと自己の内面に沈降していく第2楽章、第3楽章はトリオの流線美、そして第4楽章ではあっけらかんと現れる軽快な3連符・・・

挙げていけばキリがありませんが、いわゆるピリオドアプローチなどの演奏スタイルなどではなかなか得られない味わいや愉しみが、この当時ならではの演奏には詰まっています。

 

 

シューベルト : 交響曲第5番&第8番「未完成」

シューベルト : 交響曲第5番&第8番「未完成」